高専退学→宅浪→大学受験(文転)体験記

 はじめまして。あか、と申します。

 私は2017年度に近畿地方高専に入学し、タイトルの通り退学(四年→五年の時期に退学。三年次修了)、浪人を経て大学入試(金沢大学文系学部)を受けました。

 私自身「高専退学→大学受験」というある種イレギュラーな進路を選ぶに際し、情報の少なさゆえに戸惑うことも多かったため、こうして体験記を書いています。

 本当はもう少し凝ったようなタイトルにしたかったのですが、上述のような経緯があるため、検索にヒットしやすいよう単純なものとしました。

 この体験記によって誰かの役に立つことができるのならば幸いです。

 また、文中の各所に「おすすめです」といったような表現がありますが、私の体験記をなぞるような形での受験対策は全くおすすめできません。

 この文章に書かれたことをすれば誰もが同じような結果になるわけではありませんし、私自身をとっても、もう一年同じことをして同じ結果になるとは思っていません。受験対策については予備校などの正しく最適化されたノウハウに沿って行うことが一番良いのだと思います。あくまでも「こういう人間もいたのだな」といったように、参考程度にご覧いただければと思います。

なぜ退学したのか

 入試体験記という体裁の文章のため、退学の理由などについては特に詳しくお話するつもりはありませんが、1)「理系科目への適性のなさ」2)「(高専での)専門分野に留まり続けることへの不安」3)「1,2による学業への関心の低下」などが主な理由でした。

 

進路決定

 私が高専を辞め、大学入試を受けようと決めたのは2021年の1月、つまり共通テストの丁度一年前でした。2020年の終わり頃、成績を見ても四年から五年へ進級することは難しかったということもあり、それ以前から薄々と脳内にあった「退学」について両親や担任の教員との話し合いを始めました。その経緯などは省略させていただきますが、留年して高専に在籍し続ける、退学して専門学校を受ける、退学して大学を受ける、などの選択肢がある中で、最後の「退学して大学を受ける」を選びました。

 退学を決めるとすぐに手続きを行い、同時に受験する学校選びも始めました。学力的、時間的、そして金銭的な問題について考慮した結果、共通テスト三教科だけで入ることができる国公立大学が(数は少ないものの)存在することを知り、その大学を第一志望として対策をはじめました。

 具体的に述べると、私が退学当初志望していたのは広島県尾道市立大学でした。その後、立地的な問題から志望校を福岡県の北九州市立大学へと変更し、最終的には共通テスト受験後に石川県の金沢大学へと変更しました。これらはどれも共通テスト三教科で受験できる学部や入試システムが存在する大学であり、更に述べるとこれらの大学以外には共通テスト三教科で受けられる国公立大学というのは殆どありません。そしてこれらの大学(の中の共通テスト三教科で受験が可能な学部)はどれも人文学系の学部です。文転を希望していた私にはとても好条件でしたので、同様の進路を考えている方はぜひこれらの大学について調べていただければと思います。

 

 また、予備校などについてですが、私は宅浪(自宅で勉強を行う浪人生のこと)を選びました。あまり褒められたものではありませんが、予備校を選ばなかった理由は「通うのが面倒だった」からです。人によって集中できる環境というのは異なると思いますので、ご自身が最も集中できる場所、環境を選ばれると良いと思います。

 

高専時代の成績など

席次

一年生→10~20番台

二年生→一桁後半~10番台

三年生→20番台後半

四年生→30番台後半~40番台(ほぼ最下位)

資格類

英検二級(退学後、2021年3月取得)

 

 上記の通り、高専在学中の成績は順調に落ちて行きました。科目毎の内訳は省略しますが、数学や専門科目などの理数系は軒並み低く、英語国語、及び社会系などの一般科目は平均もしくは平均より少し上程度でした。

 

試験対策(概要)

 共通テストを受けるに際して私が行った対策についてです。初めに、浪人としての一年を通し、私の勉強時間は決して多いとは言えませんでした。私の学力、そして周囲の受験生との差を考えると尚更不十分であったと言えるでしょう。結果的に私が合格できたことには運などの要素も幾分寄与していることをお伝えした上で、私が行った対策を記そうと思います。各点については、後ほど詳しく説明いたします。

 

 受験科目

共通テスト→英語、国語、理系基礎(物理基礎、地学基礎)

二次試験→英語(長文読解、英作文)、総合問題(小論文)

 

・年間スケジュールと平均勉強時間

2021初頭→共通テスト過去問

2021春→映像授業視聴(国語ー古文、漢文)、基礎知識習得(参考書) (3-4h/日)

2021夏→問題演習([共テ]英、国、理科基礎)、基礎知識習得(参考書) (4h/日)

2021秋→問題演習(同上) (4-6h/日)

2021冬→問題演習(同上)、二次対策(英作文等) (6h/日)

2022初頭→問題演習([二次])、二次対策(英作文、小論文) (3h/日)

(年間を通じて行っていたもの→古文単語)

試験対策(共通テスト)

 

初めに

 試験対策を始めるに当たり、まず私が行ったのは共通テストの過去問を解くことでした。当初から共通テストは三教科しか受けないと決めていたため、受ける可能性のある科目の過去問を解き、現時点での得点を計算しました。それによって大まかな自分の立ち位置を確認し、自分に足りていない物(例:古文知識、漢文知識など)をリストアップしました。私の場合になりますが、長文への慣れ、古文知識、漢文知識、物理公式、地学知識、などが足りていなかったので、それらについての対策を重点的に行いました。

 高専退学→大学受験という手法はただでさえ時間が短く、更に基礎的な学力としても周囲の受験生より劣っているので、あまり回り道をせず、必要な勉強を必要な分だけ行うことに注力しました。

 

英語

 共通テストを利用する入試方式(国公立+私大共テ利用)を受ける場合、英語はほぼ必須です。どの大学も英語の成績を利用しますし、英語の配点が高くなっている場合も多くあります。私大の共テ利用などでは英語外部試験(toeic、英検など)の成績を代用することができる場合もありますが、往々にしてそれらの手法ではかなり高いスコアが求められるので、現時点で何らかの資格やスコアを持ち合わせていない場合は大人しく共通テスト英語の対策を行ったほうが良いと思われます。

 

問題演習→問題集周回

 共通テストの英語は全ての設問が読解問題になっています。半分程度が短めの文章についての問題であり、残りの半分は長めの文章です。決して多いとは言えない試験時間の中でこれらの文章を読み、設問に答える必要があります。私が共通テストの英語を受験するに際して行った対策は殆どが問題演習でした。

 長い文章を読むことに慣れることが大切だと感じたため、共通テストの赤本を周回したり、長文読解用の問題集を解いたりしていました。

 

単語について→頻出単語、文中の不明単語のみ

 多少の語弊はありますが、私は受験対策としての単語勉強を殆ど行いませんでした。もちろん単語力はあればあるほど役立ちますし、共通テスト、二次試験を通して単語力は得点力の向上に繋がります。それ故に英語の試験対策としては単語勉強は必須であろうかと思われますし、単語勉強を行わない私の対策は決して褒められたものではないでしょう。

 私がどうして単語対策を行わなかったかについては、私の学習習慣の劣悪さが大きく関与していました。高専在学中に私の学習習慣は壊滅し、特に四年次においては試験期間であっても文字通り一度もペンを握らない、といったことも普通でした(これは勉強しなくても頭いいんだよ、的なアピールではありません。そのため成績は酷いものとなり、結果退学することになりました)。勉強の習慣が全くない状態から浪人を初めたので、私にとっては、問題を解き、それを採点することが精一杯だったのです。特に暗記については努力することができず、何度か単語帳を開き定期的に単語勉強を行おうと思いましたが、いずれも失敗しました。

 とは言っても、全く単語力が無い状態では長文を読み、設問に答えることは難しいでしょう。私が唯一行っていた単語対策は、「文中に出てきた単語のうち、意味を知らないものを書き出す」でした。赤本、問題集、模試などを解いている際に現れた単語を紙に書き出し、意味を調べて書き添えました。それを続けていると、頻出単語の意味はうっすらと分かるようになります。

 

 高専退学生向けの入試体験記ですので、高専生に向けてにはなりますが、高専の英語の授業についていけているのならば、共通テスト対策として特別苦しんで単語対策を行う必要は無いと思います。もちろん難関大学などの二次試験については話が異なりますが、共通テスト英語に出てくる英単語は標準的なものです。殆どは中学英語の単語ですし、例外と言っても最後の一、二題程度です。それらの例外に置いても文脈理解などによってある程度文意を把握することは可能であり、その程度の理解でも大幅に得点を失うようなことは無いと思います。あまり無責任なことは言えませんし、単語なんてやらなくていい!とも言えませんが、共通テスト英語(の単語)に関してはあまり気負いすぎる必要は無いと思います。

 基礎的な単語力がある場合、やはり長文に慣れることが重要であり、私はそれを優先して問題集の周回を行いました。(浪人初期は時間内に解き終わることすら困難でした)

 

リスニング→問題演習

 リスニング対策はあまり行いませんでした。共通テスト受験当時の志望校はリスニングよりもリーディングの成績を重視する得点換算が行われるためです。共通テストのリスニングは概ね平易な問題が多い印象ですが、一部苦手な分野もあり、そこに関しては諦めていました。

 リスニングは全体に渡って色々な形式の問題が出るため、過去問を確認し、どのような形式の問題が出るのか、どのような形式が得意で、どのような形式が苦手なのか、について把握しておくと良いと思います。

 

国語

 高専退学生が大学入試を受ける場合、国語はかなり難所となるでしょう。実際、私は国語の対策が最も大変であったと感じますし、試験結果を見ても国語が一番点数としては低い科目でした。そもそも高専では国語教育があまり重視されていない(と私は感じました)ので、初学者として対策を行う必要があります。共通テスト国語の各設問は、現代文二題、古文、そして漢文です。それぞれに分けて、私が行った対策を記します。

 

現代文→問題演習

 対策を記すといったものの、国語に関してはあまり確信を持って「私の対策は良かった」と言うことができません。特に現代文においては、私の行った対策はかなり不十分であったと言えます。

 私は現代文の対策として、問題演習のみを行いました。共通テストの赤本を周回し、別途購入した現代文のマーク方式問題集も周回しました。

 単純な知識問題として解くことができない分野なので、私の対策はあまり参考になされないほうが良いと思われます。

 現代文読解の解法にはある程度のノウハウがある(らしい)ので、現代文を伸ばしたいのならば、予備校に通う、専門の参考書を読み込む、映像授業を受ける、などの対策を行うほうが良いと思います。

 

 私の現代文の試験結果が良くはなかったことを踏まえた話になりますが、問題を解いて終わるのではなく、解説をしっかりと読むことをおすすめします。私は読解問題の解説をあまり読み込まなかったため、「解答を選ぶ根拠」を読み取る力に欠けていたと思います。正しい回答、そしてそれが正しいことに対する根拠が解説には書かれておりますので、私のように解いて終わり、採点して終わり、のような対策はおすすめできません。

 

古文→単語帳、文法(参考書)、問題演習

 共通テスト国語の中でも、ここで述べる古文、そして次の項で述べる漢文は難所であろうと思われます。そもそも高専において古文や漢文は殆ど取り上げられることがなく、その点において周囲の受験生との差が大きく開いている分野でもあります。現代文、そして古文漢文はどれも配点が同程度ありますので、国語での高得点を狙うのならおろそかにしてはならない分野だと思います。

 

 単語帳

 いくら同じ日本語とは言えども、現代の我々が使っている日本語と古典での日本語とは大きく異なります。同じ単語でも意味が全く異なるものもありますし、現代では全く使われていない言葉が頻出単語であったりすることもあります。まずは単語を知らなければ手も足も出ないため、私は古文単語の暗記を行いました。

 具体的には、単語帳を一冊購入し、それを周回しました。また、単語帳には載っていないものが問題演習で現れた場合、それを紙に書き出しました。

 単語の意味を知っているだけで取れる問題、と言うものもありますので、国語を受験する方は単語の暗記を行うことをおすすめします。

 

 文法(映像授業→参考書)

 古文を対策するに当たり、私が最も苦労した分野が文法であり、最も努力が足りなかった分野も文法でした。

 まず私は高校生向けの映像授業を視聴し、古文文法についての講座を一通り受講しました。高校生が学校で習う基礎的な事項を、映像授業を用いて駆け足で追いかけるような形です。

 そして完璧とは言えずとも、ある程度古文文法に対する「慣れ」が生まれたところで参考書へとシフトしました。

 初学者向けの古文文法参考書を購入し、問題演習と並行して読んでいました。別冊として良くまとめられた小冊子がついているものもあり、直前期の振り返りなどとしても役立ったと思います。

 

 私は古文文法についてこれらの対策を行いましたが、結果としては不十分でした。文法は完全なる暗記分野であり、暗記したものを都度引き出して問題文に当てはめなければ安定した点を得ることは難しいでしょう。私は文法暗記が不十分であったため、古文に対する対応力に欠け、結果として本番ではかなり危うい思いをしました。

 初学者として国語、更には古文を受験するのですから、かなり根を詰めて暗記に取り組む必要があったと思います。

 

 問題演習

 上記のような単語、そして文法と並行して、私は問題演習を行いました。他の教科と同様に、購入した赤本、そしてマーク式の問題集を用意し、それらを周回する形での演習です。

 問題を解く中、そして問題文を読む中で現れた意味を知らない古文単語をメモしておき、単語帳では足りない部分の単語暗記も同時に行いました。

 

 私が行わなかった対策、そして行うべきだった対策として、品詞分解というものがあります。おそらく予備校などでの授業では行われているものなのですが、問題文などを細かく分け、主語であったり、敬語であったり、助動詞などの活用であったりを一つ一つ確認する作業のことです。助動詞の活用一つで文意が大きく異なる場合もあり、それらを具に確認することは正しい文脈把握のためにも重要です。

 問題演習や参考書の読み込みなどを同時に行い、細かな文法知識であったり、頻出構文であったりといった物をしっかりと覚えることが、古文対策としては重要であると感じました。古文は英語などと違い全く慣れ親しみの無い分野ですので、地道に学習を行うことが必要であり、それを行わなかった私にとっては最も反省すべき分野であったとも思います。

 

漢文→文法(映像授業→参考書)、問題演習

 文法

  漢文についても古文と同様、初学者として基礎事項から学習を始める必要があります。私はまず映像授業を視聴し、漢文文法について触れることから始めました。返り点などは中学や高専の授業でも少し触れられていましたが、やはり受験に際してはより多くの知識が必要であり、そのために文法を学習しました。

 古文と同様、映像授業を一通り受講したあとに参考書へと移り、細かな構文であったり、漢文特有の事項について暗記しました。主語などが省略されがちな古文とは異なり、漢文はどこかシステマチックな構成であり、簡潔な文章ですので、個人的には暗記もしやすい分野でした。暗記すべき事柄も古文文法よりは量が少ないため、参考書を読み込むにあたっても心理的な抵抗が少なく、その点においても漢文学習は楽しいものでした。

 (受験勉強も高専での勉強も不十分な人間の感想であることはご理解いただきたいのですが)、漢文はどこかプログラミングと似通った雰囲気があるため、文系科目に苦手意識のある方でも漢文文法についてはあまり心配なさらなくても良いと思われます。

 漢文文法の学習に使用した参考書においても、わかりやすく要点をまとめた小冊子がついているものを購入したので、直前の振り返りなどが容易でありとても役立ったと感じています。

 

 問題演習

 一通りの文法について触れ終わると、私は問題演習を行いました。赤本、そしてマーク式の問題集の周回が主な内容です。 

 

 漢文はシステマチックであり簡潔と述べましたが、それ故に暗記量に左右されやすい分野であると感じました。句形と呼ばれる漢文特有の構文を知らなければどうしようも無いということです。しかし、システマチックさ故に、一度覚えてしまうとどの文章でも一様に理解度が上がるため、試験本番に際しての不安は他の分野に比べても軽いものでした。

 一日の勉強の終りに少し参考書(に付属しているまとめ小冊子)を読むだけでもそれなりの効果があると思いますので、国語、そして漢文を受験科目として重視されるかたは是非肩の力を抜いて、しかし集中して取り組まれると良いと思われます。

 

 余談ですが、漢文の問題演習は英語や古文など他の演習に比べて興味深く取り組むことができました。古文は色恋などの話が多いのに比べ、漢文は思想的な文章が多く、しかもそれらの思想が数百年、数千年も昔に書かれたものであることについて驚きました。遥か昔に生きた人間の思想が文章として残り、それを現代に生きる我々が読むことができる。なんて素敵!!

 

理系基礎

 共通テスト三教科を受けるに当たり、英国の他に私が選んだのは理系基礎でした。物理基礎、化学基礎、生物基礎、地学基礎の中から2つを選び、それをもって一教科とすることができる科目です。文系学部を受験することに加え、高専を退学する人間がどうして理系基礎なのだろう、と思われるかもしれませんが、私が選んだ物理基礎、そして地学基礎について、行った対策、そして選んだ理由を以下で述べています。

物理基礎→公式暗記+問題演習

 私が物理基礎を選んだ理由としては、「高専においてかなり重点的に学習している」「物理と比べ、物理基礎では必要なレベルが低い」ことがあげられます。共通テストの理系科目においては、「基礎を付しない科目」「基礎を付した科目」の2つの中からどちらかを選ぶことができます。

 簡単に違いを述べると、「基礎を付しない→難しい。でも一科目でいい」「基礎を付した→簡単。でも二科目受ける必要がある」となります。

 高専において、物理という分野は一般科目、専門科目を通じてかなり重点的に教育が行われます。いくら落ちこぼれの私とは言えども、古文や漢文とは異なり、初学者ではありません。(退学→大学受験を考えている皆さんにおいても同様です)

 更に、物理基礎を選んだ場合、もう一科目受けなければなりませんが、その内容はとても基本的な事柄に限られています。物理基礎についてだと、自由落下や等速直線運動などの簡単な公式を覚えているだけで取れる問題がほとんどです。とは言え、私は高専在学中から物理は苦手でしたので、もう一度基本公式を覚え直し、それと並行して問題演習を行いました。赤本に加え、マーク式の問題集の周回です。マーク式の問題集は様々な分野の問題が掲載されているので、公式の暗記漏れなどを把握することができ、運動や電気など各分野に対する自分の理解度も確認することができました。

 

 退学→受験を考えている方に向けてですが、高専で使用した物理のテキストなどは廃棄せずに手元に残して置くほうが良いと思われます。公式が全てまとめられているようなテキストはあまり多くなく、私の場合は都度調べる必要があったため、テキストを廃棄したことを後悔しました。文転するんだー!理系科目の教科書全部捨ててやるー!と思わずに、一応残しておくと便利でしょう。(私は全部捨ててしまいました)

 

地学基礎→暗記+問題演習

 基礎を付した理系科目を受けるにあたり、物理基礎の他に私が選んだのは地学基礎でした。これによって「基礎を付した科目二科目」となり、一教科として扱われます。高専において地学は殆ど扱われなかったと記憶しています(学校によって異なるかもしれませんが)。私が通っていた高専では全くと行っていいほど扱われませんでした。物理、化学は単体の授業として行われていると思うので、化学に自身がある方なら化学基礎を選ばれたほうが良いかとも思います。私は化学が大の苦手でしたので、地学基礎を選びました。ここでは地学基礎についてのみ、触れようと思います。

 

 地学基礎では暗記が重要でした。計算問題もある程度存在しますが、殆どが暗記問題です。私は暗記のために小さな参考書を購入しました。地学基礎用の単語帳のようなものです。左に説明文があり、右にそれに対応した単語が書かれているといった内容の単語帳で、それを周回し基礎的な事柄を暗記しました。

 地学基礎は暗記科目、ではありますが、内容はそれほど複雑ではありません。中学までで習っていることも多くありますし、一般常識として元から知っている内容も多くあります。一部地質時代など、全く触れたことのない分野について暗記する必要もありますが、その全体量としてもあまり多くはありません。そして、暗記すればするほど点数は上がります。

 暗記と並行して、問題演習も行いました。赤本、そしてマーク式の問題集です。暗記用の単語帳には掲載されていないものであったり、自分なりにまとめ直す必要があると感じたものに関してはルーズリーフに書き出すなどの対策を行いました。特に、問題を解いている中で頻出であると感じた分野に関しては重点的に暗記を行いました。

 

試験対策(二次試験)

 私が受験した大学(金沢大学、文系一括入試)の二次試験は、英語、そして総合問題(小論文)でした。上に記した勉強スケジュール及び勉強時間をご覧いただいて分かる通り、二次対策にかけた時間は決して多くはありませんでした。前提として、私の二次対策は不十分であったことを書き添えた上での文章になります。

 

英語

 金沢大学(文系一括入試)の英語は長文読解、そして英作文です。

長文読解→問題演習

 正直にお話しすると、二次英語の長文読解は殆ど諦めていました。そもそも二次試験に金沢大学を受ける、と決めたのは共通テスト受験後であり、対策にかけられる時間は一ヶ月程度でした。その短い時間の中で多くのことを行うのは不可能であったため、私は「多くできないからせめてこれくらいは......」といったような感覚で長文読解の問題演習を行っていました。大学の赤本であったり、東進が提供している過去問データベースを利用しました。

 上述の通り、浪人期間を通して私は英単語に殆ど時間を割きませんでした。そもそも共通テスト受験段階で志望していた大学は二次の比率が低かったということもあり、二次についてのモチベーションはかなり低いものでもありました。

 共通テスト後に志望した金沢大学は二次の比率が高いため、その時点で金沢大学に受かることは殆ど考えていませんでした。そのため、二次対策について、特に英語長文読解についてはあまり書くことがありません。

 

英作文→添削サイト、翻訳サイトを用いた自己添削

 長文読解に時間を割かない分、私は英作文に比較的力を入れました。配点は公表されていないものの、おそらく英作文にはかなり高い配点が付されているだろうと予測したためです。 

 具体的な対策としては、やはり問題集を購入し、英文を自分で作成するという内容でした。また、文字数などのルールなどは自分で調べなければならないため、注意する必要があります。

 英作文の対策においては、添削が重要です。特に、私のような宅浪においては英作文の添削を他者にお願いすることができないため、独自の方法を構築する必要がありました。もちろん、誰か(英語教員、もしくは予備校の講師など)に頼めるのならば、それが一番だとも思います。私の場合、兄妹が通っていた塾の塾長の方に添削を申し出ていただけたのですが、恥ずかしかったので頼みませんでした。(良くないことです)

 人間に添削をお願いする代わりに、私はネット上の英文添削サイト、さらに翻訳サイトを用いて英作文の添削を行いました。具体的なURLなどは後ほど記載します。

 

 具体的な手順ですが

英文を作成する→添削サイトにかけ、文法的な間違いを修正する→翻訳サイトにかけ、自分の意図した通りの意味になっているかを確認する→(余力があれば、解答を日本語で入力し、逆翻訳を行い、自分の作成した英文と比較する。これによって、自然な表現と自分の表現との差を把握することができます)

 

 といったものでした。優秀な添削サイト、そして翻訳サイトのおかげで、自力でもかなり質の高い英作文の添削を行えたと思います。特に、手順の最後に記したものは有用であったと思います。

 

 英作文を書くにあたっては、自分の得意な構文をいくつか用意することが重要だと感じました。得意な構文を用意し、その中身を問題に合わせて変更することによって、ある程度の安定した文量とクオリティを保つことができると思われます。英作文の問題集によってはそのような構文であったり、応用の効く表現といった物をわかりやすく書いてくれている物もあるので、是非ご活用いただければと思います。

 また、英作文においてあまり難しいことを書く必要はありません。これは英作文の問題集の序文によく書かれていることですが、採点者を唸らせる表現を書くよりも、減点されにくい表現を意識するほうが良いと思われます。

 

 細かな文法事項については、専門の問題集や参考書などを用いて学習するのが良いと思います。私は時間的な問題から文法の問題集は殆ど解きませんでしたが、些細な点での減点を防ぐためにも文法を学ぶことは大事であると思います。(文法的なミスにより、私の回答はおそらくそれなりの点を引かれていると思います)

 

総合問題(小論文)

 金沢大学の文系学部では、総合問題という試験が課されています。具体的な内容としては、問題文として図表や文章を与えられ、それから読み取れるものであったり、それについての自分の意見を300-400字程度で記述する問題が合計で4題ほど出されます。

 それらの問題を全て二時間以内に解く必要があるため、時間配分であったりといったことに対し注意する必要があります。

 私は総合問題に対し、あまり大きな対策は行いませんでした。これは対策の必要がなかったと言うわけではなく、一ヶ月の間に行えるものが思い浮かばなかった、ということです。図表読み取りの小論文というものはあまり多くないため、対策として利用できる過去問なども殆ど存在しませんでした。私が唯一行えたことは、過去問を解き、字数制限の範囲内に文章を収められるかの確認程度でした。

 

 上記のような理由があるため、総合問題、ひいては小論文対策に対して私が述べられることはあまりありません。文章を書くことに対して慣れておくことは重要であると思いますが、そのためにどのような練習をするべきなのか私には分かりません。

 ただ、過去問を解くにしても、文章を書く練習をするにしても、小論文の試験で大切なのは文字数であると思われます。ルーズリーフに文章を書くのと、本番の試験でマス目の解答用紙に書くのとでは感覚が異なります。もし受験される大学において小論文が課されるのなら、それがどのような形式での解答になるのかを確認し、それに基づいて対策を行ったほうが良いと思われます。

 

 また、これはインターネットで見かけた情報なのですが、小論文の試験において下書きは推奨されないそうです。やはり時間の問題もありますし、千字を超える文章を二度書くのは大変です。私の場合は要点を箇条書きやメモ程度に書き出すに留め、文章の概要を想像しながら書きすすめました。

試験所感(共通テスト)

 ここでは、試験を受けている最中に感じたことについて簡単に述べようと思います。上記のような対策の上で、私はどのような感覚で本番の試験を解いたか、ということについてになります。

 

英語

リーディング

 やはり長文を急いで読まないといけないため、一問一問にかけられる時間というのはあまり多くありません。そのため、問題では何が問われているのか、そのためにどのような情報を問題文から得なければならないのか、といったことを意識しながら読み進めました。結果として数問自信の無いものはありましたが、全体的な手応えはそれなりに良かったと記憶しています。

リスニング

 リスニングにおいても、特に大きな失敗は無く、とは言え予想以上に取れたというわけでもありませんでした。過去問の段階で苦手だった形式の問題はおそらく取りこぼしました。

 リスニングに関しては、音声再生機器を使用するため、一度はその形式での試験を受けておいたほうが良いと思います。これに関しては後述の模試関係でお書きします。

 

国語

 私が国語の試験を受けている最中に感じていたことは、「はーーーー」でした。ため息です。過去問を解いていた際と同様に現代文はイマイチでしたし、前述の通り古文に関してはあまり高得点は望めないだろうと感じていました。過去問や問題集を解いている際に感じた自分の弱みのような点は、本番に置いても必ず現れると思います。

 ただ、古文に関してですが、当てずっぽうで選んだ解答があっていたこともあり、致命的な失点には至りませんでした。こういった経緯があるため、この体験記は勉強の参考としては全く誰の役にも立たないものになるでしょう。あくまでも「こんな流れで退学→受験をやったよ」というような感覚で書いている体験記であることをご理解いただければと思います。

 

理系基礎

物理基礎

 共通テストの物理基礎では「回りくどい」問題が多いような印象を受けました。よくわからないシチュエーションの上で問題が出されることもあり、ここでは何を問われているのか、何を求めないといけないのか、について落ち着いて考える必要がありました。

地学基礎

 地学基礎においては、やはり暗記量が物を言うのだな、といった感覚でした。苦手だった分野の暗記を重点的に行なった結果、本番でそれが問われたということもあり、とき終わったあとの手応えとしてはかなり良かったと記憶しています。

 

試験所感(二次試験)

英語

 長文、英作文ともにあまり手応えはよくありませんでした。そもそも長文読解に関しては対策がかなり足りていなかったこともあり、一応全ての解答欄は埋めましたが殆どあっている自信はありません。

 英作文においても、過去問と比べ少し難易度が上がっていた印象でした。とにかく規定の文量に達さねばとの思いがあり、無理やり文字数を稼ぎました。英作文では致命的な論理破綻を起こしていない限り、文章の内容によってそう簡単には減点されないだろうとの予測のもと、書き進めました。

 

総合問題

 総合問題に関しては、あまりこれといった感想はありません。「とりあえず全部埋められたな」くらいです。あまり対策を行えなかったので、それを踏まえた上での反省も特にありません。(手応えが良かったというわけでもありません)

 ただ、殆ど眠れていない状態で試験を受けたため、つまらない漢字ミスがいくつかあったと思います。小論文などの試験を受けられる方は、ちゃんと寝て頭がさえた状態で受けましょう......!

 

試験結果

共通テスト自己採点

これらは全て自己採点であり、点数開示の結果、マークミスなどがあれば下がる可能性があります。

 

国語(164/200)

・現代文 83/100

・古文 36/50 (内10-20点は幸運)

・漢文 45/50

 

英語(189/200)

・リーディング 98/100

・リスニング 91/100

 

理系基礎(91/100)

・物理基礎 41/50

・地学基礎 50/50

 

合計(444/500)

 浪人開始時に立てた目標が七割五分(375/500)程度でしたので、結果としては良い結果だったと言えます。点数は点数ですから、勘であたったものも実力でとったものも等しく点数として扱われますが、やはり古文や国語の試験の際に感じた落胆のような感覚は気味が悪いものでした。

 得点率に換算すると88.8%であり、90%に近い結果でした。これはいい数字ではありますが、三教科だけの結果であることは私自身しっかりと覚えておく必要があると考えています。全ての科目を受験し、その上で八割、更には九割を取ることが求められる最難関大学の受験生に対して、自分の中に敬意のようなものが生まれた浪人体験でした。

 

二次試験

二次試験に関して、現時点では点数の開示が行われていません。後日開示がありますので、その際に追記いたします。

 

英語(未公開)

 

総合問題(未公開)

 

合否

 国公立大学、そして併願として受けた私立大学の合否についてです。私立大学に関しては試験結果によって奨学金制度などもあるため、その点に関しても参考にしていただければと思います。

○→合格

☓→不合格

 

国公立

・金沢大学(文系一括入試) ○

 

私立大学

龍谷大学(日本語日本文、共テ利用前期3) ○

近畿大学(文芸学部文学科日本文学専攻創作・評論コース共テ利用前期) ○

近畿大学((文芸学部文学科日本文学専攻言語・文学コース共テ利用前期) ○

近畿大学(文芸学部文学科日本文学専攻創作・評論コース共テ利用中期) ○

近畿大学((文芸学部文学科日本文学専攻言語・文学コース共テ利用中期) ○

近畿大学((文芸学部文学科英語英米文学専攻共テ利用中期) ○

関西大学(文学部総合人文学科共テ利用前期二科目型[英語外部試験重視方式]) ☓

関西大学(文学部総合人文学科共テ利用前期三科目型ベスト三科目傾斜配点方式) ○

 

 上記の通り、私大受験はどれも共通テスト利用入試を選択しました。第一志望が国公立のため、共通テスト対策が最重要であること、限られた時間の中で私大の個別入試対策を行うことが厳しいこと、等の理由によるものです。

 私立大学には入学試験の成績によって奨学金や学費の減免の権利が与えられる場合があり、私は近畿大学関西大学の入試においてそれらの対象者となりました。(対象者であっても親の収入など、いくつか条件があったと思います)

 国公立に落ちても行く学校があり、更には国公立とほぼ変わらない授業料で通うことができる、という点で、国公立受験に際してのプレッシャーというものはいくらか軽くなりました。

 

使用した参考書など

共通テスト英語

・赤本

www.amazon.co.jp

・問題集

www.amazon.co.jp

共通テスト国語

・赤本

www.amazon.co.jp

・現代文問題集

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・古文文法参考書

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・古文単語帳

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・古文問題集

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・漢文文法参考書

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・漢字

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・漢文問題集

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共通テスト物理基礎

・赤本

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・問題集

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共通テスト地学基礎

・赤本

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・問題集

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・用語集(単語帳のようなもの)

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二次試験英語(長文読解)

・赤本

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・問題集

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・問題集

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二次試験英語(英作文)

・赤本

(同上)

・問題集

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英作文の自己添削

・英文法添削サイト

www.grammarly.com

・翻訳サイト

www.deepl.com

二次試験総合問題(小論文)

・赤本

(同上)

その他(志望校変更前に使用していたものなど)

・現代文読解(記述)

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参考書について(買ったほうが良いものなど)

 私が購入したものはどれもある程度質の良いものであったと思います。赤本やマーク式の問題集は何度も周回しましたし、古文や漢文の参考書はまとめ用の小冊子もついており便利でした。

 ただ、英語の長文読解(二次対策用)に関しては共通テスト後に購入したこともあり、どれも半分程度しか解くことができませんでした。質としては解説が細かだったこともあり、きちんと解き、きちんと復習する時間がある場合には有用なテキストだったと思います。

 志望する大学、望むレベル、によって選ぶべき参考書や問題集は異なるかと思います。一番良いのはやはり予備校などに通い、知識の豊富な講師のおすすめを聞くことであったり、同じ受験生に聞くことであると思います。

 私は宅浪かつ受験生の知り合いもいなかったので、ネット上の口コミや、勉強アプリ(study plus)を入れて同じ大学を志望している学生がどのような問題集、参考書を使っているのかを調べました。勉強時間の管理などには全く使いませんでしたが、そのような使い方もあるのだということを参考にしていただければと思います。

模試について

 大学受験をするにあたって、模試は受けるべきであり、受けてよかったと考えています。私は計3回模試を受けました。内2回は自宅にて受験ができる河合塾のweb模試であり、残りの1回は会場にて河合塾の模試を受験しました。

 模試の結果によって自分の弱い点が分かることはもちろん、成績が良いにしろ悪いにしろ全受験生の中で自分の相対的な立ち位置が分かるということには大きなメリットがあります。

 また、試験会場の雰囲気を予め感じられるという点でも模試を受けることは役に立ちます。特に、英語のリスニングに関しては学校での定期テストなどとは異なり、各人に配られる個別の音声再生機器を用いて試験を受けます。試験監督より操作説明があるとは言え、予め知っているのと知らないのとでは心理的な余裕が異なります。

 問題演習としても模試は有用だと感じました。過去問としての赤本があるとは言えども、十年分にも満ちません。また、共通テストは新しい試験ですから、共通テストの過去問となるともう殆ど存在しません。そのような中で共通テストと同程度の難易度の問題として、模試を受けること、そして模試の復習をすることはとても大切であると感じました。

 私が受験したような自宅にて模試を受けられるサービスもあるので、活用することをおすすめします。

 

英語の資格について

 私大では英語外部試験を用いた入試方式(共テ利用)があるのですが、(関西大学の場合)英検二級ではやはり足りないようでした。英検、toeic問わず、かなりの高スコアが必要だろうと思われますので、「外部試験で点を稼ぐから共通テスト英語の勉強はしない」という方針はあまりおすすめできません。もちろん既に良い資格を持っておられるのならとても役に立つと思いますし、高校卒業程度となっている英検二級であっても共通テスト七、八割と同程度の扱いになりますので、取らないほうが良い、というわけでもありません。

 国公立大学においても、外部試験の成績を共通テスト英語の成績と比較し、良い方を取る大学もあるので、共通テスト英語で失敗しても保険がある、という点ではプレッシャーが少し減るとも思います。

 そういった点により、勉強の一環として外部試験を受けることはおすすめですが、共通テスト英語対策の代用として外部試験に注力することについては個人的にはおすすめできません。

 

高卒認定について

 高専を退学し大学受験をするにあたり、受験資格が必要です。具体的には「高卒」「高卒認定」「高専三年次修了」などの要件をどれか一つ満たしている必要があります。私は四年→五年の時期に高専を退学したため、最後の「三年次修了」の資格を満たしていました。四年生に進級できている方ならば、恐らく三年次修了の資格によって大学受験をすることが可能だと思います。(学校によって条件が異なる可能性はあるので、学生課もしくは担任の教員などに確認された方が良いとは思います)

 (大学受験に関してのみの話ですが)、四年生へ進級しているのならば、高卒認定は必要ないと考えて良いと思います。

 

勉強習慣について

 これ以前の項でも書きましたが、私の勉強習慣は壊滅的な状態でした。そして恐らく、(撤退的な状態で)高専を退学する方は私と同様であろうかとも思います。私の場合、ちゃんと授業に出て、課題を出すこともできない人間だったので退学に至ったのです。そのような状態でしたので、私の受験対策はまず机に座ることからはじめました。具体的には、以前の項で述べたとおり映像授業を視聴しました。映像授業の視聴など、受動的な学習から初め、徐々に問題演習へと移り、暗記なども行いました。継続的に勉強を行う必要があるため、(甘えていると言われればそうですが)無理なく続けられるようにしました。

 初めの方に書いた通り、科目数の少なさを加味しても私の勉強時間は多いとは言えませんでした。それに加え、あの勉強時間は平日だけであり、土日はほぼ何も行いませんでした。最難関大学を目指すわけでは無いこと、科目数が限られていること、勉強習慣が壊滅した状態であったことから、あれが私の限界であったとも言えます。

 「たったこれだけの科目数の受験なのに、何を偉そうに体験記なんて書いているんだ」と思われるかもしれませんが、序文にも記した通り、あくまでも「高専退学→大学受験」を考えておられる方に向けての記録に近いものですので、重ね重ねにはなりますがご参考程度にお読みいただけると幸いです。

 

ノイズ(勉強を阻害する雑念)について

 この項では大学受験とはあまり関係のない内容について書いています。また、この項で触れているような物事については個人差が大きいと考えているため、特に参考にはならないとも思います。

 

 純粋な勉強習慣の質に加え、様々なノイズによって私達の集中力は削がれて行きます。私の場合、退学以前から抱えていたある種の人間関係についての問題に対し、本来なら勉強に使えるはずの多くの時間を割く必要がありました。浪人、特に宅浪の場合にはそのようなノイズの影響は無視することができませんし、勉強と同様、もしくはそれ以上に注意を払って対処する必要がありました。もし退学や浪人を考えている方がいるのならば、可能な限り現時点で抱えている問題に対し早めに対処することをおすすめします。時間が立ち、精神的な余裕が無くなってくるにつれ、それらの問題は受験への不安と同様に大きく膨らんで行く場合があります。勉強に集中できる環境というのは物理的な物だけでは無いと思います。

 その他、細かなノイズとしては「受験関係の手続き」「進学後の住居探し」等がありました。私の場合、後者の住居探しに関しては親に一任していたため、私にかかる負担というものはあまり多くありませんでした。しかしながら、受験には細々とした手続きが多く、更にそれを怠ると受験すらできなくなる可能性が高いものも多いため、ただでさえ勉強によって飽和状態となっている精神に一定の負荷がかかります。

 一般の受験生は学校、友人、予備校などから適宜アナウンスがありますが、浪人生、特に高専退学生においては全ての情報を自分で集める必要があります。後述の注意すべきこと、の項でも述べますが、手続き関係、特に書類などの準備にはかなりの注意を払う必要があります。

注意すべきこと(手続き関係)

 この項では手続きなどに関して私が感じた注意すべきことを記していますが、このような手続きについては受験する学校などによって個人差が大きいため、必ずご自身でお調べになることをおすすめいたします。

 受験の際には在学していた高専からいくつかの書類を取り寄せる必要があります。それらには申請から発行までのタイムラグが大きいものもあります。

 また、書類によっては有効期限があるようなものもあります。

 何の書類が必要か。そしてそれはどのようにして発行してもらうのか。について余裕を持って調べておくことをおすすめします。

 

 例として私が取り寄せた書類ですが、

・第三学年修了証明書

・調査書

・在籍期間証明書

です。修了証明書や調査書については出願する大学の数だけ必要になり、また調査書には発行から三ヶ月以内のものしか有効ではないため、注意が必要です。(私は調査書の期限を切らしてしまい、大慌てで追加の発行を申請しました)

 

終わりに

 とても長いものになってしまいました。要点をまとめると「不十分だった」ということでしか無いのに、冗長に冗長を重ねた結果こうなりました。私と同様の進路を考えている方の助けになれば、と思い書いた体験記ですが、こうにも長くなると本来の役目を果たさないかもしれないと思い、反省しています。

 

 私が退学し、そして受験をするにあたり、親からの支援は不可欠でした。問題集を買う費用、模試の受験費用、受験料、二次試験の宿泊費、さらには一年間の衣食住など、金銭的な支援無しでは何もできなかったでしょう。ここでこのように書くことによって、謝辞としようと思います。(ちゃんと言葉でも言います)

 

 浪人生活での人間関係についてはあえて書きませんでした。もちろん浪人は孤独ですし、社会と隔絶されているように感じます。そのまま学校に残った友人と比べて、自分だけが取り残されているような感覚にもなります。これらの事柄について詳しく書くことは今の時点では難しいと思い、文中では触れませんでした。

 

 この体験記を通じて、私は高専を辞めることを推奨しているつもりはありません。大きな理由がない限り、そのまま高専を出て、編入なり就職なりをしたほうがよほど良いと思っています。しかし、高専において文転を強く希望する場合、退学→大学受験がほぼ唯一の手段であるとも思います。

 高専在学中の私が進路について調べた際、文転し大学受験を受けることについての情報がほとんど存在せず、不安に駆られた経験からこの体験記を書きました。

 

 繰り返しになりますが、この体験記によって誰かの進路選択のお役に立てることがあるのならば、私としては幸いです。